危険物取扱者試験は、消防法によって指定された危険物を取扱う場合に求められる、総務省所管の国家資格の1つです。
先日私も受験し、無事に合格出来たのですが、試験に合格してから感じることも色々あり、今回は資格取得を目指している人向けに資格のメリットやデメリットについてまとめてみました。
危険物取扱者って何者?
最初「危険物」といきなり言われても、正直あまりイメージがわかないのではないでしょうか。
私も最初は危険物と聞いた時、「毒物や劇物でも扱うのか!?」と思っていたのですが、実は調べてみると身近で使うガソリンや灯油なんかも法律上はこの危険物に該当したりします。
ですので、国内にあるガソリンスタンドは、それが都心にあろうが田舎にあろうが、有資格者が必ず常駐しています(無人に見えるセルフスタンドにも係員がいるのはこうした理由もあります)。
そして世の中には、ガソリン以外にも素人が勝手に触ったら危ない化学物質が沢山あり、国が危険だと判断した物質は法律で規制され、教育を受けた有識者だけが取り扱えるよう、危険物取扱者が存在しているのです。
※下表のように法律で
何故、危険物取扱者だったのか?
実はこの資格が活かせる業界・職種は想像以上に色々あり、汎用性の高いスキルだと考えたことです。
例えば比較的分かりやすい「ガソリン」を例にすると、ガソリンを取扱う企業はガソリンスタンド以外にも、ガソリン製品の製造を請け負う化学・石油会社、ガソリンをタンクローリーで運搬する運送会社、ガソリンの貯蔵を専門とする倉庫等、色々あります。
また職種に関して考えても、危険物を直接取扱わないような職種の人々、例えば事業を企画したり、プラントやガススタを設計者したり、コンサルティングをする人でも、こうした知識を持っていることが求められます。
そうしないと、恐らくビジネスの会話についていけないですし、お客さんから素人だと思われて信頼を勝ち取れません。
化学メーカーの求人なんかを見ると歓迎資格として書かれていたりします。
このように危険物取扱者試験が活かせる業界・業種のバリエーションが幅広いのです。
元々自己啓発として資格取得を考えてはいたのですが、この資格は汎用性が高いと考えて受験しました。
何故、乙種4類を選んだのか?
試験制度や色んな記事を読んだりして、乙種4類はこれらの中で最も合理性が高いと考えたからです。
まず前提として危険物取扱者試験は、上の表でも紹介した通り、大きく「甲種」、「乙種」、「丙種」の3つありますよね。
その中でも甲種は全ての危険物の取扱いが可能となる最上の資格です。しかし、甲種には受験資格がある上に、当然試験の難易度としても初心者にはハードルが高く、身の程に合いません。
一方、「丙種」試験は難易度としては最もハードルが低い検定と言えるのですが、無資格者との立ち合いが出来ないといった資格として出来ないことが多く、実務で活かしずらいのです。
そうすると乙種に絞られるのですが、乙種の中でも4類はガソリンという市場規模の大きい製品の取扱いが可能で、活躍の場が最も広いのです。
資格取得のメリットは?
試験に合格して感じた資格取得のメリットについてです。実際に履歴書に書いて転職活動してみた反応も交えながら正直に書いてみました。
1.幅広い職種・業界で活かせる
求人件数が比較的豊富なIndeedで、「危険物取扱者試験 乙種4類」とシンプルに検索してみると、ヒットした関連求人件数は5,000件以上ありました。
これを多いと考えるか少ないと考えるかはそれぞれで異なりますが、他の類似の資格と比較してみても、少なくはないと思います。個人的には多いと考えます。
また危険物取扱者資格は幅広い業界・業種でで活かせると既に紹介しましたが、実際に自分で調べてみると、ニーズの高さを実感できます。
例えば、タンクローリーの荷役や事務、設備のメンテナンスや防災スタッフ、化学メーカー、プラントエンジニアリング、タンクローリードライバーや、なんかには動物検疫所といった求人もあります。
IT企業の台頭で、今は安定した業界など無いような不確実でカオスな時代ですので、業界に縛られない汎用性の高いスキルを持っておくことは、万が一の時にセーフティーネットとして効果を発揮すると個人的には考えています。
2.転職に有利!!
資格取得は転職には直結しませんが、間違いなく有利に働きます。
転職は当然他の候補者がいますので、他社と自分が天秤にかけられた時、資格取得していること=積極的に勉強出来る人という点で有利に働きます。
資格を保有しているという価値よりも、自ら新しいことを学べる意志や力があるというのは、企業にとって大きなアピールポイントになるのです。
今は新しいテクノロジーが次から次へと出てくる時代なので、「自ら学べる力がある」というのは、企業にとって大変重宝されるので、これは非常に重要なポイントです。
3.職業として安定している
危険物取扱者資格は国家資格の中でも「必置資格」に分類されています。
必置資格に分類されているということは、事業を行う上で、事業規模に応じて資格保有者を設置しなければならないということが法律で義務付けられているという意味です。
事業を存続させるためには必要な役割という点では重用されますし、そういう意味では職業として安定しているというメリットがあります。
資格取得のデメリットは?
勉強することに対するデメリットは正直ないと思いますが、試験勉強を始める前に留意しておいた方がいいことをまとめてみました。
1.就職には直結しずらい
実は私は資格取得後に、とある化学メーカーの転職面接を受けました。
その化学メーカーはワークライフバランス的にも安定していて、給料もそこそこ良く、優良業界の1つですよね。
求人情報の「歓迎スキル」欄には、「危険物取扱者歓迎」と書かれていましたので、実際に応募してみたらどうなるかちょっと興味もありました。
さて、実際に応募してみた結果ですが、書類選考は無事通過したものの、面接では一次面接では残念ながら落ちました(笑)。
自分のコミュニケーション不足や熱意不足もあると思いますが、とにかく、資格取得=就職とはならないことを身を持って実感出来ました。
2.化学や物理といった理系問題への耐性が求められる
実際に問題を解いてみると分かるのですが、危険物取扱者試験には、高校レベルの化学や物理の問題も出題されます。
しかも合計で10問も出題される上に、最低でも6問(60%)以上の正答が求められるので、避けては通れません。
例えば、下記のような問題が出題されるのですが、こうした理系の問題に対する耐性が求められるので、興味がないと正直ただただ退屈です。
・「メタノールを燃焼させると炎の色は何色になるか」
・「化学物質ベンゼンの特徴とは?→非水溶性だが、メタノールには溶ける」
・「静電気の特徴」
3.エネルギー業界の構造が変わりつつある
近年社会や企業の環境配慮への意識が高まっていることに伴い、ガソリン自動車への規制は強まっていて、国内のガソリンスタンドの数も残念ながら減少傾向です。
1994年には約6万店舗あるとされていたガソリンスタンドですが、2019年にはその半分の3万店舗程度にまで減少しているという情報もあります。
今後もこの傾向は続くと考えられますので、乙種4類を取得し、ガソリンスタンドや石油業界への勤務を考えている人にとっては正直市況は厳しく、将来性は薄いと言わざるを得ません。
例えば甲種を取得して、「危険物や化学物質のスペシャリスト」としてキャリアチェンジをする等、他業界でも活躍できるよう業界を変えていくことが求められると感じます。
危険物取扱者試験の学習方法
危険物取扱者試験の勉強方法は、1.予備校(通信講座)で学ぶ、2.書籍による独学があります。
独学でも十分合格が狙える資格だとは思いますが、近年問題の難易度が上がっていて、結構細かく知識を問う問題が出題されているので、通信講座をうまく使って、最新の情報に触れながら、確実に合格を目指すという選択も検討に値します。
下記サイトに学習方法をまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。