アマゾンビジネスの売上高がついに25兆円を突破 日本企業に迫るアマゾンの脅威とは?


先日Amazon公式サイトにて、Amazonの法人向けECサービスの「Amazon Business(Amazonビジネス)」の全世界の売上高が「$25 Billion(約2.5兆円)」を超えたと発表されました。

実はAmazon Businessの売上高や利益額といった財務情報は、Amazonが定期公表する決算書には記載がないため(記載する義務がないため)、このように時折公式ブログで小出しされる情報からしか進捗がわからないのですが、今回の発表で事業としてもかなり好調に推移していることが判明しました。

ちなみに「Amazon Business(アマゾンビジネス)」は世界8カ国にしか展開していませんが、実は日本市場にも既に展開済なので、いずれ日本の皆様にとっても無視できない存在になってくると思います。法人向けDeath By Amazonって感じですかね。

本記事では、このアマゾンの内容がいかに衝撃的な内容なのかかお伝えしようと思います。

※参考:Amazonビジネスを使ってみての感想 メリットとデメリットを徹底検証

 

成長幅がスゴイ

実はAmazon Businessの売上情報が公表されたのは約3年ぶりの出来事です。

Amazonビジネスの売上高は1兆円に成長」でも書いたように、前回は2018年9月に発表されました。

2018年9月発表時点で$10 Billionだった事業は、3年も経過していない現在、既に$25 Billionに成長したということです。売上高は3年間で2.5倍に成長しています。

これだけでもスゴイことですが、実は更に遡ること6年前のAmazon Businessの売上高は約$1 Billionとのことなので、6年間で25倍成長したという計算になります。

2.5兆円という売上の規模感もすごいのですし、展開国たったの8カ国だけで(Amazonは中国は撤退している)これだけの成長を遂げるのは正直異常ではないでしょうか。

 

成長スピードがスゴイ

Amazonビジネスの売上高は1兆円に成長」の内容と若干重複して恐縮ですが、実はAmazonの他のサービスと比較してみると、この成長スピード感が実感できると思います。

●AWS(Amazonのクラウドサービス):2006年にサービスイン後2018年に$25Billion達成(約12年間かかる)

●Amazon Subscription(アマゾンPrime等月額固定サービス):2005年にサービスイン後、2020年に$25 Billio達成(約15年かかる)

●Amazon Business:2012年にサービスイン後、2020年に$25 Billion達成(約8年で達成)

何となく「成長しているな」というレベルでなく、他サービスの成長の伸び率と比較すると「急速に成長している」ということが分かりますでしょうか。

 

売上規模がスゴイ

Amazon Businessは「法人」を対象としたBtoB向け通販サービスですが、同様のビジネスモデルを展開する企業は他にも存在します。

その筆頭が日系大手の「モノタロウ」に出資もしている「Grainger(グレインジャー)社」なのですが、同社の2020年の売上高は約$11.7 Billionであり、既に競合Grainger社の売上高の2倍です。

Amazon Businessの売上高の算出ロジックがもしかしたら異なるかもしれませんが、それでもなお売上高2.5兆円超というのは衝撃的です。

 

今後の伸びしろがスゴイ

実はAmazon Businessが狙っている「BtoB向けEコマース市場」は、マーケット全体としての市場ポテンシャルが大きく、今後益々伸びていくことが予想さています。

【出典:経済産業省『国内電子取引市場規模』】

下図は世界大手の調査機関Gartner社が発表した「デジタルコマース」におけるトレンド予測ですが、ここでも「BtoBコマース」が取り上げられていますし、他にもこの分野を有望視する調査レポートは色々出ています。

まだまだAmazon Businessの事業規模は拡大していきそうですし、それは日本も例外ではないでしょう。

 

日本独自の商習慣にも適用するのがスゴイ

皆さんもご存知の通り、日本での商習慣には、今でも独特な文化が存在しています。

例えば、支払いに関しては月末締め翌月末支払いと決められていたり、商品を発注する前に見積書を取って判子や稟議を通す必要があったり等あります。

Amazon Businessがスゴイのは、こうした国毎の商習慣の違いに合わせて、つまり顧客のニーズを起点としてサービスを柔軟に変えているということです。

Amazon Businessでは見積各をPDFで印刷することも可能ですし、支払いも対応しています。

こうした顧客の要望を起点とした、きめ細かいサービスを展開しているあたり、今後は日本市場を更に盛り上げていくことでしょう。

 

Amazon Businessの今後の展望は?

ここからは自分の憶測ですが、現時点でのAmazon Business展開国は「北米、スペイン、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、日本、インド」の8カ国のみです。

一方、Eコマースマーケット全体として注目を集めているのは東南アジアであり、今後はAmazon Businessがこうした未進出国に進出していく可能性は高いのではないでしょうか。

そうなると、特にグローバルに展開する企業にとっては、Amazon Business上で様々な調達先のコスト情報を一元管理できるようになり、従来では購買調達システムが必要な領域でしたが、今後の進化次第では購買システムの代わりとしても活用できることになるかもしれません。

 

乗るか、乗らないか?

Amazon Businessの各国毎での売上高の詳細は公表されていません。

そのため日本市場でAmazon Businessがどれくらいの認知があり、どれくらい利用されているのかは不明です。

自分の感覚としては、まだまだモノタロウ、ミスミ、オレンジブックといった既存サービスが優位な感じがしています。

ただ今後、世代交代と共に既存概念に囚われないようなデジタルネイティブ世代が増えるにつれて、この市場の構図は変わっていくことでしょう。

中小企業の製造メーカーならセラーとして販路を開拓し、購買調達の担当者ならコスト削減ツールとして、一度Amazonビジネスを使ってみてはいかがでしょうか。

 

※参考:Amazonビジネスを使ってみての感想 メリットとデメリットを徹底検証

以上です。