顧客や自社の拠点の立地情報を地図上にプロットして可視化できるソフトを探していたところ、「QGIS」というソフトを発見し実際に使ってみたので、その感想を備忘を兼ねて紹介させて頂きます。
QGISとは
オープンソースのGISソフトウェアです。
GISは直訳すると地理情報システムのことで、地理データを管理したり、地図として可視化させたり分析するシステムのことです。
地理データは特殊なファイル形式を持っているので、データを表示させたり操作するためには、その特殊なファイル形式を読み込めるソフトが必要です。
QGISを使えば、こうした地図専用ファイルを読み込み、データを加工したり可視化させることができるということです。
QGISのメリット
1.オープンソース(無料)
QGISのようなGIS系のソフトやアプリは、QGIS以外も出ていますが、QGISの特徴はなんといても「オープンソースソフト」であることです。
オープンソースとは、ソフトのコードが一般に公開されていることを指します。
コードが一般に公開されていることで、世界中にいるエンジニアやユーザーがソフトの中身を分析したり改造できるのでナレッジが蓄積されやすく、分からないことや実現したいことがあれば検索を通じて解決できたりします。
またソフトは無償でインストール&利用できるので、PCとネットワークにさえ繋がっていれば、企業の規模や個人問わず広く世界中の誰でも利用できるというメリットがあります。
2.国土交通省も推奨
ただより安いものはないというように、「無償」と聞くとどうしても「信頼性や信ぴょう性」に関しては懐疑的になりますよね。
ただ「QGIS」に関しては、国土交通省からインストール方法に関する正式なドキュメントがリリースされています。
行政がHPを通じて正式に書面を出していますので、他の無償版ソフトよりは安心して使えるソフトとの印象を受けました。
3.簡単
QGISインストールから利用までにかかった実際の時間は45分程度でした。
環境構築といった面倒な手間が不要でインストールマニュアル通りに進めば、カンタンにインストールできます。
マニュアルは国土交通省から日本語版が公開されているので、英語に不自由な人でもカンタンにインストール&利用できます。
他にも、QGIS専用のプラグインが開発されていたり、QGIS内でPythonを実行できたりするので、QGISの機能をどんどん拡充させていくことも可能です。
QGISのデメリット
1.分析ツールではない
他のGISソフトだと、商圏分析やネットワークの最適化分析といった、地理空間情報を使ったビジネス分析を行える機能が実装されていることが多いです。
QGISはそうしたビジネス分析を目的として作られたソフトではないので、様々なパラメータを設定して、より高度なビジネスシミュレーションや分析を行うのは難しいと思います。
2.サポート体制
オープンソースなのでソフトのサポートに関しては、自分で調べるか、QGISのメーリングリスト経由で聞く等に手段が限られます。
IT企業のように、サポートエンジニアさんが会社に訪問してくれて、オンサイトで丁寧に使い方を解説してくれるといった対応や、営業さんが最新の機能を説明してくれるといったことはないので、積極的に自ら情報収集していく必要がありそうです。
高まるQGIS人気
下記は「QGIS」のGoogleの検索結果数の推移ですが、ここ数年で注目度が国内外で急増していることが分かります。
【Googleトレンドの結果(日本)】
【Googleトレンドの結果(世界)】
ここ数年でUber等のMAAS(Mobility as a service)サービスへの関心が高まりつつある中で、地理情報データ分析への関心も高まっていて、QGISに白羽の矢が立っていることが1つ考えられます。
GISエンジニアを目指そう!
QGISを学べる学習教材は意外に少なく、あるとしてもほとんど英語の教材です。
興味があれば参考にしてみて下さい。
◎GIS in QGIS 3 for beginners
QGISの初級者向けの講義で、ソフトをPCにインストールするところから学べるチュートリアル動画です。
実際にQGISを使って3次元モデルの地図を作成し、データをエクスポートするところまで扱っているので一通り学びたい人にはおすすめかと思います。
◎OpenStreetMap: QGIS with OSM Plugin
最近話題に上がるOpenStreetMapsの使い方を学べる動画です。
実はQGISはOpenStreetMapsとAPI接続が出来るのですが、その連携方法についても解説しています。
QGISというよりはOpenStreetMapsの方の比重が高いです。
以上。