不動産鑑定士で起業は可能か?将来性や海外業務は?


不動産鑑定士に関する過去問とテキストを購入し、資格取得後の仕事内容等について調べたことへの感想の共有です。

不動産鑑定士は有望で将来性のある国家資格ですが、合格率は低く決して簡単に手に入る資格ではないので、事前に資格取得後や資格勉強のイメージを掴んでおくことは、モチベーションコントロールの上でとっても大切です。

 

不動産鑑定士とは?

不動産の法的な価格を試算する日本の国家資格の一つです。不動産系の国家資格でメジャーな資格で「宅建」がありますが、こちらは不動産の「取引き」を行う上で必要な資格ですが、不動産鑑定士は実際にその土地がいくらで取引されるべきなのか、「不動産や土地の値付け」を行う専門家です。

具体的には、毎年一回国土交通省が地価公示というある特定の土地の価格の値段を発表しています。意識していると「今年の銀座の地価は〇〇円で全国1位」、「武蔵小杉の地価が高騰!」といった記事が出ているのですが、、イメージしずらい人はググったらすぐ出てきます。

そして、実はこの地価を算定しているのが、不動産鑑定士さんなのです。こうした公的な業務意外にも、競売価格や相続税・固定資産税を納めるための基準額となる不動産の価格を決めるのも、不動産鑑定士さんのお仕事なんですね。

 

起業は可能だが、営業や人脈は必要

そもそも私がこの資格に興味を持ったのは、「個人事業として働ける」、「会社に縛られない個の力を手に入れる」ところでしたが、実際に調べてみて、そう思うところとそうでないところがありました。

まず不動産鑑定士は国家資格で独占業務なので、参入障壁がありライバルは少ないです。またこの制度の変更や廃止にならない限り、毎年必ず地価公示業務という安定したニーズも発生しますので、資格取得後より積極的に活動していけば、仕事を取ることはできると考えます。この点では、会社が持つブランドにしがみつくことなく、自分で仕事を取りに行けるチャンスは多く広がっています。

しかし、資格取得してすぐ起業できるのか?と考えるとこれは難しいと思いました。資格勉強で学んだことと、実際の鑑定業務の実務は異なりますし、最初経験が浅いうちは仕事の進め方も効率が悪くなりますし、そのような仕事の進め方を教えてもらえる伝手や人脈は必要です。或いはそうした伝手を手に入れるための、営業力やコミュニケーション能力は必要です。

 

将来性は高い

不動産鑑定士の仕事は地価公示以外にも、相続税を計算する時の不動産の評価もあります。

日本は高齢化社会を迎えていますので、これから相続に対する相談件数は増えていくと思われますし、不動産鑑定士の資格保有者の高齢化も一緒に進んでいる状況にありますので、長い目で見ても活躍できる機会は増えていく資格だと考えます。

また鑑定業務以外の知識を付けていけば例えば「相続」といった特定の領域における専門家としてキャリアを深めていくことも可能ですし、不動産の鑑定業務に加えて会計知識も学ぶことで「不動産の投資アドバイザリー」といった方向でのキャリア構築も可能かと考えます。

 

海外での鑑定業務もあり得る

色々調べてみると、大手不動産会社では海外の不動産の鑑定業務を行っているというケースも見られました。固定資産税や相続ではなく、日本の鑑定方法を海外の不動産に適応させて、海外の土地を評価するといった業務です。

また実は海外にも不動産鑑定士業務の資格にあたる「MAI」というものがあります。

どんな国にも不動産は存在しますし、外的要因の変化によって不動産の価値は変わるものなので、英語が出来る人は日本の不動産鑑定士として学んだ内容を将来的には海外版に適応させることも可能であり、グローバルに展開できる可能性も高い資格であると考えます。

 

合格率は低い

不動産鑑定士の合格率は、合格者/申し込み者で計算すると5-6%程度だと言われます。また公認会計士や弁護士の資格と同じように、試験は年に一度と限られているので、試験に落ちた時のダメージが結構でかいです。

国家資格は、資格取得に成功すれば独占業務を担うことができますが、取れなければキャリア上何も意味がないです。履歴書に「不動産鑑定士の勉強経験あり」なんて書いても全く意味ないですし。

その意味でも、
・自分は本当に不動産鑑定士として働きたいのか?
・落ちても、またチャレンジするだけのモチベーションが保てるのか?
といった点を勉強前に腹落ちし覚悟を決めておくことは重要です。

 

不動産鑑定士を更に理解する

私も不動産鑑定士の資格を勉強する前に、まずは不動産鑑定士の実際の試験問題や実際に不動産鑑定士として働くイメージを持ちたいと思い、下記書籍を読みました。

◎こんな面白い不動産鑑定士の仕事

不動産鑑定士試験に合格した後、個人事業を立ち上げた人が書いている本で、不動産鑑定士の業務内容に対してよりリアルなイメージが沸くと思います。

自分も読んだことがありますが、実際の資格保有者が書いている本なので具体性がありますし、150ページ程度なのですらすら読めます。

 
◎不動産鑑定士 鑑定理論過去問
 
鑑定理論短答式試験の問題を平成24年度から令和元年分まで収録した過去問です。
 
不動産鑑定士を勉強する際は、資格学校に通う人もいると思いますが、その前にまずは過去問をぱらぱらと読み、「自分はこの問題を解きたいのか?」と自問自答し、試験のイメージを掴んでおくのは経済的で良い方法です。
 

 

不動産鑑定士を学ぶ

不動産鑑定士の学習方法は、書籍等で独学で学ぶか、予備校に通うかです。

そして予備校で通う場合も予備校の選択肢は限られていて、資格の学校TACとLECの二択ですが、不動産鑑定士は難関の資格なので、基本的にはどちらか一方かと思います。

両者とも資料請求自体は無料ですし、国から補助金が出る教育給付金対象講座の対象の場合もありますので、一度検討してみてはいかがでしょうか。

以上です。

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