アマゾンビジネスのメリットとデメリット 競合サービス5社と比較


先日日経新聞でも取り上げられていましたが、アメリカで先行してスタートしたAmazonの法人向けサービスAmazon Business(Amazonビジネス)がついに日本に上陸しました。

アメリカではサービスインからわずか1年間で1000億円の売上を出したというニュースもありますが、日本市場でも同じように普及していくのでしょうか。

実際にAmazonビジネスに登録して使ってみた感想を、他のサービスとも比較しつつ共有したいと思います。

※参考(2021年):Amazonビジネスの売上高がついに25兆円を突破 何がスゴいか解説

※参考(2018年):Amazonビジネスの売上高は1兆円に成長 3年強で10倍

Amazonビジネスとは?

アマゾンは言わずと知れた米国発の通販サイトであり、今や日本円にして30兆円以上も稼ぐ巨大企業ですが、そんなアマゾン社が運営する法人企業を対象とした通販サイトがAmazonビジネスです。

法人企業と一般消費者での買い物を比較すると、そもそも購入製品の特長も異なりますが、一般消費者であれば不要な請求書や領収書の発行、会社のコスト分析に必要とされる購買データ、購買統制等、法人として必要なプロセスがあります。

こうした法人の様々なニーズに対応したのがAmazonビジネスです。

他のサイトがそうであるように、Amazonビジネスも登録自体は無料で行えて、欲しい商品を検索して購入することが可能です。

 

Amazonビジネスの競合サービスは?

社会人の皆さんであれば、「Askul(アスクル)」と言ったらピンと来る方も多いのではないでしょうか。

Askulも国内の法人企業向けに文房具等を販売している通販で、Amazonビジネスの筆頭競合サービスです。

実はAskul以外にも、BtoB向けの通販サイトを運営している企業は色々あり、主なものだと以下があります。

●Askul:オフィス用品
●モノタロウ:工場向けの消耗品関連
●ミスミ:機械部品
●大塚商会のたのめーる:オフィス用品
●トラスコ中山

◎Askul

◎モノタロウ

◎ミスミ

◎たのめーる

 

Amazonビジネスの特徴

さて、実際にAmazonビジネスに登録してみると(無料)、以下のようなトップ画面に遷移しました。

画面のレイアウトとしては、大きく4つの絞り込まれていて、これなら日頃買い物用に使うアマゾンの感覚でショッピングが出来そうです。

①言語切り替え・購入品目リストの閲覧
②アカウントへのユーザ追加機能
③請求書の対応状況
④その他アカウントの設定

 

ちなみにログイン画面は下図のような感じです。こちらも見た感じ、普段の買い物でうアマゾンのサイトと同じなので、不便に感じることはなさそうです。

●Amazonビジネス

●Amazon.co.jp

ログインIDは、メールアドレスか電話番号で登録を行うようです。

Amazonビジネスのメリット

さて、以下では実際に登録して使ってみて感じたことをまとめてみました。

1.豊富な支払い方法に対応

日本では、請求書をベースにした銀行振込みという古くからの商習慣が未だに根付いています。

Amazonビジネスは、米国発のサービスですが、こうした日本の商習慣も理解していて、請求書の発行にも対応しています。日系企業の経理会計オペレーションと適合できる点で、便利なサービスだと言えます。

中にはここ最近広まりつつある電子決済やネットバンキングを利用したいと思う企業もあるのではないでしょうか。

Amazonビジネスはこうした様々な支払い方法に対応しているので、購買側の様々な要望に応えてくれるサービスだと感じます。

 

2.法人割引や数量割引

Amazonビジネスでは、多くの製品が法人向け割引が適用された特価での販売価格となっています。

また一定の数量以上をまとめて購入する場合に割引となる数量割引なる製品もありますので、コストメリットが高いです。

 

3.パンチアウト連携にも対応

企業は購買品目を購買システムで管理して社内の承認フローを構築しているケースが多いのですが、この購買システムとサプライヤサイト情報を連携させることをパンチアウト連携と言います。

情報を連携させられるので、購買システム内の商品情報をメンテナンスする手間が省けたり、科目を紐付けできるといったメリットがあるのですが、Amazonビジネスもパンチアウト連携に対応しています。

実際に確認してみたところ、日系・外資系様々な購買システムとの接続が可能でした。

これはユーザーにとって大変使い勝手が良く、ビジネスモデルとして新規顧客を獲得する大きな武器となり得ます。

【購買システムの設定手続きの画面】

個人の好みの部分もありますが、設定完了までのステップと進捗が分かったり、帯右下にサポート誘導があったりと、個人的に分かりやすいと感じます。

4.購買データの分析

Amazonビジネスでは、サイトを通じて購入した商品の購買データを活用した、「購買データの分析機能」が標準実装されています。

通常こうしたビジネス分析を行う場合、専用のソフトを購入しレポートを開発しなければいけないのですが、Amazonビジネスでは無料で使えるので、その費用が不要なのです。

購買調達担当者にとっては、今まで見えなかった経費が見える化されることのメリットも大きいです。

 

5.商品の宣伝や広告が少ない

日系の通販サイトなんかを見ると、商品のプロモーションが大々的に掲載されていたりして、サイトが見にくかったりするのですが、Amazonビジネスには広告がほとんどありません。

サイトの作りがシンプルなので、「欲しい商品を検索して買う」ことに集中できます。

また、日頃日用品を買うアマゾンのサイトとサイトのデザインは似ているので、どこでどのような設定ができるのか、直感的に分かりやすいのもいいです。

 

6.マーケットプレイスならではの豊富な品揃え

Amazonビジネスで商品を検索していて気付いたのですが、AmazonビジネスってBtoB版のマーケットプレイスなんですよね。

メーカから商品を仕入れてサイトで売る商社というよりも、サプライヤーとバイヤーをつなげることが目的なので、実はAmazonビジネスのサプライヤーはメーカーに限らず、商社や卸も含まれていたりします。

つまり、商社が持つ独自の調達ルートや調達能力を活かそうとするモデルなのです。

この違いは結構大きいと考えます。

なぜなら、商社を取り込むということは、商社がこれまで培ってきた独自の調達ルートを活かすことが可能で、商社しか入手できないようなマイナーな商品や海外輸入品なんかも購入できてしまうからです。

例えば、以下商品は海外輸入部品なのですが、「eライフ」という商社がサプライヤーですよね。

Amazonビジネスでは、こうした専門の商社もセラーとして登録することができるため、 その商社に紐づいている品物も提供することが出来るので、商品の品揃えも豊富です。

 

7.Amazonプライム

Amazonというと、毎年一定の金額を払うことで送料が無料になるアマゾンプライムを使う方も多いのではないでしょうか。

Amazonビジネスでも法人向けのアマゾンプライムがあり、年間4,900円(税込)を払うことでプライムサービスを利用することが出来ます。

こちらは任意でのサービスとなりますが、配送日が指定できたり、お急ぎ便が無料になるので利便性は上がるかと思います。

Amazonビジネスのデメリット

他のBtoB向け通販サイトと比較したAmazonビジネスのデメリットについて考えたことの共有です。

今後サービスが変更されたり改善される可能性はありますので、その点は自分もウォッチしますが、ある程度はご理解下さいませ。

1.配送料

Amazonビジネスでは2,000円以上購入すると配送料が無料となりますが、そうでない場合は配送料がかかります。

一方、例えばミスミでは、配送料が基本的には無料です。

小物を単発で頼む使い方をする場合、配送料で値が張ってしまう可能性があります。

【ミスミの送料に関する表記】

 

2.個人利用のハードルが高い

Amazonビジネスは、基本的には法人や個人事業主を対象としたサービスなので、「個人利用」でのアカウントの登録が出来ない仕様となっています。

一方、モノタロウなんかは個人利用でもサービスを利用できますね。

このように個人で利用する点で若干敷居が高く感じるのがデメリットに感じました。

 

3.審査

Amazonビジネスでアカウントを発行すると、アカウントが利用できるようになるまで審査が必要です。

この審査が通過するまでは商品を購入できず、使えるようになるまで暫く待たなければならない点では他サービスに劣ると感じました。

モノタロウやミスミなんかはすぐに使えますね。

個人利用は可能か?

Amazonビジネスに登録を行う際、個人事業主の場合は下記3点のいずれかの書類の提出が必要です。

●確定申告書 B
●開業届出書
●青色申告承認申請書

フリーランスや個人事業主であれば、こうした書類を毎年提出しているので個人利用することも可能かと思います。

登録を進めると、登録が承認される前に一度審査が入りますので、一度登録申請してみた上で利用可能かどうか実際に確かめてみるのもいいのがよろしいのではないでしょうか。

以上です。